国内のPAカンパニーとしては、いち早くVENUE | Profileシステムを導入したことでも知られるフリーウェイ。同社は2007年、VENUE | Profileシステムが発売になるのと同時に、新しいメイン・コンソールとして同仕様のシステムを2式導入しました。当時、ライブ・サウンドの世界では新参のコンソールだったVENUEを導入した理由について、同社所属のサウンド・エンジニアである松浦浩太郎氏は、「レコーディング/プロダクションの世界で標準になっているDAW、Pro Toolsのメーカーが作ったコンソールならば絶対に間違いないだろうと思った」と語ります。
「とにかく機能面で凄く可能性を感じたんです。その最たるものがプラグイン・エフェクト。内部に仮想のラックがあって、そこにエフェクトをインサートしていくなんていうのは、レコーディングの世界の話だと思っていたので、本当に革新的だなと思いました。音質に関しては当時、アナログ・コンソールと比べると平坦と言う人もいましたが、それもプラグイン・エフェクトで自由に色付けするためのもので、他社のデジタル・コンソールと比べると、サウンド面でも機能面でも群を抜いていたと思います。弊社にとって、VENUE | Profileシステムの導入はとても大きな出来事で、その後に導入したラインアレイの選定にも影響を与えました」(松浦氏)
その後フリーウェイは、小規模〜中規模の現場用にVENUE | S3Lシステムも導入。ステージ・ボックスとして導入された4台のStage 16は、特注のケースによって、現場の規模に合わせて必要な台数を持ち出せるようになっています。そして同社は一昨年、新しいフラッグシップ・コンソールとして、VENUE | S6Lシステムも2式導入しました。10年選手となったVENUE | Profileシステムと合わせて、現在では計5式のAvid製コンソールが運用されていることになります。
「VENUE | S6Lシステムに関しては発表直後、これからは間違いなくこのコンソールが標準になると思い、代表にお願いして導入を決断してもらいました。弊社の代表もVENUE | Profileシステムの実績から、Avidのコンソールを凄く信頼していたので、導入までそれほど時間はかかりませんでしたね。気付けば、弊社が所有するコンソールはすべてAvid製になってしまいました(笑)」(松浦氏)
フリーウェイが導入したVENUE | S6Lシステムは、コントロール・サーフェースが32フェーダーのS6L-32Dで、DSPエンジンはE6L-192。ステージ・ボックスはStage 64で、入出力はアナログ64ch入力/24ch出力に拡張され、VENUE | S6Lシステムに関してもVENUE | Profileシステム同様、まったく同じシステムが2式導入されています。
「タッチ・スクリーンが備わるなど、ユーザー・インターフェースが大きく変わったので最初は不安だったんですが、実際に触ってみたらVENUE | Profileシステムとそれほど違いはありませんでした。結局はVENUE Softwareなので、機能をセレクトしてエンコーダーで操作するというマナーは同じ。なのでスムーズに移行することができましたね。まだ使ったことがないという人もきっと多いと思うんですが、VENUE | Profileシステムに慣れている方であればすぐに使いこなせるのではないかと思います。
個人的に特に気に入っているのは、マスター画面でのVCAやカスタム・レイアウトの設定がタッチ操作でできるようになったところ。脇のVENUE Softwareの画面もタッチ・スクリーンになったことによって、操作が非常にスムーズになりました。VENUE | Profileシステムと比べると、トラックボールに触れることも少なくなりましたね。
VENUE | S6Lシステムの一番の特徴は、何より音の解像度の高さにあると思います。とにかく情報量が多いので、サウンド・チェックのときにミックスのアラが目立ってしまうほど。それくらい解像度が高いですし、リバーブのインパルスも凄くすっきりしている。色付けが無くフラットな音質は、VENUE | Profileシステムから一貫していますね。
弊社は発売直後に導入したわけですが、これまでハードウェアに起因するトラブルは一切ありません。ソフトウェアは凄く頻繁にアップデートされますし、動作も非常に安定している。他社製デジタル・コンソールのトラブルの話をいろいろ耳にしますが、ことVENUEに関して言えば、本当に信頼できるコンソールだと思います」(松浦氏)
プラグインに関しては、基本VENUE Packに入っているものを愛用していると語る松浦氏。中でもReVibe、Reverb One、Fairchildといったところがお気に入りとのことで、現在はWaves SoundGridの導入も検討しているとのことです。
「VENUE | S6Lシステムには本当に満足しています。導入当初は、フェーダーのカスタム・レイアウトが出来ないことが不満だったんですが、それもバージョン・アップで出来るようになりましたし、今ではまったく不満は無いですね。先頃アナウンスされた新しいコントロール・サーフェースやステージ・ボックスにも興味があって、中でもローカルI/OのLocal 16はぜひ導入したいと思っています。S6L-16Cといった新しいコントロール・サーフェースに関しても、DSPエンジンやステージ・ボックスはそのままでクオリティを落とさずにシステムを小型化できるので、かなり魅力を感じていますね。今後も弊社では、Avid製コンソールをメインに業務をこなしていきたいと思っています」(松浦氏)