2024年10月28日
Chris Winsor, Elpiniki Pappa, Orla O’Rourke
Pro Tools 2024.10ソフトウェア・アップデートがリリースされ、Steinberg SpectraLayersとWaveLabのARA 2プラグインのサポート、Native InstrumentsのKontakt 8 Playerとコンテンツの追加、510kとBLEASSのMIDIエフェクト・プラグインなど、音楽とオーディオポストの両ユーザー向けに新機能が導入されました。このリリースには、MIDIプレイリストのワークフロー、バーチャル・インストゥルメントへのクリップのドラッグ&ドロップ、Dolby Atmosの拡張機能なども含まれます。
新機能の詳細な技術概要については、Pro Tools 2024.10の新機能ガイドとリリースノートをこちらからご覧ください。最近のリリースなどの概要については、Pro Toolsの新機能ページ(英文)をご覧ください。
Pro Tools 2024.10リリースのすべてのプラグインとその他のコンテンツの受け取り方法については、このビデオをご覧ください。
Pro Tools にサウンドの世界をもたらすNative InstrumentsのKontakt 8
AvidはNative Instrumentsと提携し、最近リリースされたKontakt 8 Playerには、Pro Toolsユーザー用に厳選されたインストゥルメントのコレクションが含まれます。Kontakt 8は、Native Instrumentの業界をリードするバーチャル・インストゥルメント・プラットフォームのメジャー・アップデートであり、ウェーブテーブル・シンセシス、統合されたMIDIツール、ループやサンプルを再生および操作する新しい方法であるLeapなどの新機能が追加されています。
Pro ToolsでのKontakt 8 Player
Native Instruments Kontakt 8 PlayerとPro Tools Factory Essentialsインストゥルメント・ライブラリは、バージョン 2024.10 以降のソフトウェアを使用しているすべての Pro Tools ユーザー(Introを含む)にご利用いただけます。有効なサブスクリプションおよび永続版アップグレード・プランにご加入のPro Tools Artist、Studio、Ultimateのお客さまは、別途、NI Hybrid Keysインストゥルメントもご利用いただけます。Pro Tools StudioおよびUltimateのお客さまは、さらにNI Soul Sessionsもご利用いただけます。また、Pro Tools | Sonic Drop特典プログラムの一環として、Avidは新しいKontaktインストゥルメントをリリースします。
Native Instruments Kontakt 8 Player
STEINBERG SPECTRALAYERS と WAVELAB のARA 2 プラグインをサポート
Celemony、iZotope、Sound Radix、Synchro Arts のさまざまなソリューションに対する既存の ARA 統合に加えて、2024.10 では、Steinberg の SpectraLayers と WaveLab プラグインの ARA 2 サポートを提供します。
Pro ToolsでのSteinberg SpectraLayersとWavelab
ARA 2のサポートにより、オーディオをラウンドトリップすることなく、Pro Toolsでこれらのツールを大幅に迅速かつ簡単に活用できます。さらに、有効なサブスクリプションおよび永続版アップグレード・プランにご加入のPro Toolsのお客さま(Pro Tools 2024.10以降)には、別途、Steinberg SpectraLayers GoとWaveLab GoのARAプラグインも提供されます。これらの各ARAプラグインの詳細については、以下のブログをご覧ください。
SpectraLayers Go
WaveLab Go
510kとBLEASSのMIDIエフェクト・プラグイン
2024.10 では、新しい音楽のアイデアを生成して実験するための 2 つの強力な MIDI プラグインが提供されます。510kのSEQUND Liteは、ポリリズムを簡単に探索できる直感的なシーケンサーです。エキサイティングなベースラインを作成する場合でも、グルーヴに満ちたエキセントリックなメロディーを作成する場合でも、SEQUNDのインターフェースには、MIDIノートを介して即座に呼び出すことができるさまざまなパターンが含まれており、シームレスなトランジションと信じられないほどの素早さでパターンを変更できます。
Pro Toolsでの510k SEQUND Lite と BLEASS Arpeggiator
オーディオ開発者のBLEASSがトップ・ミュージック・プロデューサーのCanblasterと共同で開発したBLEASS Arpeggiator MIDIエフェクト・プラグインは、従来のアップダウン・パターンを超え、ポリリズムとポリフォニー、そして高度に構成可能なアルペジオの大規模なコレクションを提供します。直感的なインターフェースにより、さまざまなアルペジオやパターンを簡単に試すことができ、XYパッド、LFO、Motion Sequencerにより、高度なモジュレーションが可能になります。
510k SEQUND LiteおよびBLEASS Arpeggiator for Pro Tools プラグインは、有効なサブスクリプションおよび永続版アップグレード・プランにご加入のすべての Pro Tools ユーザーにご利用いただけます。各プラグインの使用方法については、以下のブログをご覧ください。
510k SEQUND Lite
BLEASS Arpeggiator
MIDI の改善点と強化
2024.10 リリースでは、音楽制作と MIDIワークフローにおいて、いくつかの主要な新機能が導入されました。インストゥルメント・トラックとMIDIトラックのプレイリスト、インストゥルメント・トラックの入力モニタリング、トラックごとのMIDI遅延補正設定、MIDIエディタにフォーカスビューの導入、およびいくつかの改善点が追加されました。
MIDIプレイリスト
最も要望の多かったMIDIプレイリスト機能がついに搭載されました!インストゥルメント・トラックとMIDIトラックで利用でき、各テイクを新しいプレイリストに保存して、さまざまなアイデアを録音できます。オーディション・ボタンを使用しながら再生して、さまざまなテイクを比較、選択、編集し、それらを組み合わせてクリップを作成できます。
Pro Tools MIDI プレイリスト
フォーカスビュー
フォーカスビューは、選択範囲全体に存在するノートのみを表示できる新しい表示方法です。これは、通常、ドラムをプログラミングするときに非常に便利ですが、特定の弦セクションのノートのみを表示する場合や、アーティキュレーションを処理するノートを表示する場合にも便利です。MIDIエディタにある新しいボタンをクリックするだけです。
Pro Tools MIDIフォーカスビュー
フォーカスビューは、選択範囲全体に存在するノートのみを表示できる新しい表示方法です。これは、通常、ドラムをプログラミングするときに非常に便利ですが、特定の弦セクションのノートのみを表示する場合や、アーティキュレーションを処理するノートを表示する場合にも便利です。MIDIエディタにある新しいボタンをクリックするだけです。
インストゥルメント・トラックの入力モニタリングとMIDI遅延補正
インストゥルメント・トラックの入力モニタリングを導入したことにより、トラックの出力をリアルタイムで聴くことができるので、ライブパフォーマンスやMIDI出力機能を持つプラグインの出力を確認するときに特に便利です。これは、トラックの録音ボタンを有効にすることなく行えるため、より柔軟で効率的なワークフローを提供します。
初期設定内で、従来の”MIDI>基本>デフォルトTHRUインストゥルメントのオプション”が、”MIDI入力モニターは選択されたトラックに従う”に置き換えられ、任意のトラックを選択するだけでオーディションするトラックを切り替えることができるようになり、複数のトラックの管理がこれまで以上に簡単になりました。さらに、新しいインストゥルメント・トラックを作成すると、そのトラックの入力モニタリングが自動的に有効になり、スムーズで中断のない創造的なプロセスが保証されます。
また、録音用のMIDI遅延補正と入力モニタリングをトラックごとに別々にオンまたはオフにすることもできます。MIDIのライブ録音中は、オプションを「オフ」のままにして、演奏したとおりにリアルタイムで演奏を聴いたり録音したりします。ただし、MIDIビートクロックとの同期とシステムディレイが重要な内部シーケンサーを備えたバーチャル・インストゥルメントを使用する場合は、MIDI遅延補正を「オン」にすることをお勧めします。これにより、トラックが完全に同期し、プラグインをセッション内のMIDIビートクロックや他のトラックとシームレスに統合できます。
Pro Tools MIDI遅延補正
その他のMIDIの改善点
「セッションデータをインポート」ウィンドウの機能強化
Pro Tools 2024.6では、「セッションデータをインポート」ウィンドウが大幅に更新されましたが、Pro Tools 2024.10ではさらに多くの機能が追加されています。
トラックの選択を一致させたいというリクエストが長年ありました。以前は、すべてのトラックを一度に一致させるか、一度に1つずつ一致させるか、どちらかのみが可能でした。また、トラックを選択すると、新規トラックにインポートされました。今回のリリースでは、インポートする操作からトラック選択を「取り消し」できる新しいモードを追加しました。これで、選択した後に、選択内容を一致させるか、新規トラックとしてインポートするかを決定できます。その後、新しい選択を行い、選択したトラックのグループごとに異なるアクションを選択できます。
Pro Tools 「セッションデータをインポート」ウィンドウ
従来、「セッションデータをインポート」ウィンドウの一致方法は、名前以外のものに依存するあいまい検索を使用していました。これは、おおよその一致には十分ですが、ほとんどの場合、正確に一致しているか確認する必要があります。これを解決するために、いくつかのことを追加しました。1つ目は、完全一致する名前のみを検索するオプションです。2つ目は、インポートされたトラックを色分けすることで、どのトラックが新規トラックにインポートされるか、名前で完全一致しているか、名前がおおよそに一致しているかを確認できます。また、トラック・フィルタに新しいオプションも追加されたため、インポートされているトラックを確認したり、逆にインポートされていないトラックを確認したりできます。
Pro Tools 「セッションデータをインポート」ウィンドウ
最後に、各トラックのデスティネーション・セルで入力検索し、個々の一致の割り当てを高速化できるようになりました。これは、編集/ミックス・ウィンドウのトラック出力メニューとインサート・メニューで使われている入力検索機能と同様です。
Pro Tools 「セッションデータをインポート」ウィンドウ
Dolby Atmos内部レンダラーの追加点
リリースごとに、多くの機能が追加されています。
2024.10 では、Dolby Atmos内部レンダラー・ウィンドウでスピーカーをソロおよびミュートできるようになりました。スピーカーの上にマウスを置くと、ソロボタンとミュートボタンが表示され、個々のスピーカーで変更できます。Control+クリック(Mac)またはStart+クリック(Windows)で横一列の全スピーカーをソロまたはミュートしたり、Option+クリック(Mac)またはAlt+クリック(Windows)で上部または下部のセット全体をソロまたはミュートしたりできます。
Pro Tools Dolby Atmos スピーカーのソロ/ミュート
また、トリム&ダウンミックス・ウィンドウを浮動表示できるようになったので、再生中に変更を加えるのが容易になりました。
Pro Toolsトリム&ダウンミックス・ウィンドウの浮動表示
色
色分けをすると、トラック間のシグナル・ルーティングの関係を確認しやすくなります。Pro Tools 2023.12では、I/O設定でパスを色分けする機能を追加し、編集ウィンドウとミックス・ウィンドウのトラックI/Oプレート(オーディオ入出力トラック・セレクタ)に反映されます。ただし、トラック出力に色を割り当てるには、I/O設定でトラックに割り当てられたパスを見つけて、そこから色を割り当てる必要がありました。
Pro Tools 2024.10では、トラックI/Oプレートから直接パスに色を割り当てることができるようになりました。他の色を割り当てられる箇所にも同様の機能が追加されています。右クリックするだけでコンテキストメニューから色選択にアクセスしたり、キーを使用してクリックするとすぐに色選択にアクセスしたりできます。
Pro Tools 色選択
さまざまなメニューに色選択が表示されるようになりました。これで、出力割り当てやDolby Atmosのグループ・メニューなどを確認するときに、割り当てられた色を確認できます。
Pro Tools 色が割り当てられたトラック
その他の改善点
Pro Tools クリップリストを取り外し、独立したウィンドウとして表示可能
Pro Tools 検索可能なバウンスソース
Pro Tools マーカーラインを表示/非表示
Pro Tools マーカールーラーとレーンで右クリック
キーボード・ショートカット
Pro Tools独自のキーボード・ショートカットに慣れていない他のDAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)やNLE(ノンリニア・エディター)ユーザーに向けて、各アプリケーションにおける基本的なキーボード・ショートカット・プリセットを追加しました。これらは、キーボード・ショートカット・ウィンドウからアクセスできます。Pro Toolsの基本操作である最も一般的なキーボード・ショートカットをマッピングしました。完璧なマッピングがない機能には、Pro Toolsのデフォルト・コマンドをそのまま使用しました。
マッピングしたアプリケーション・コマンドのリストは以下です。
Pro Toolsでの他のDAWと同様のキーボード・ショートカット
利用条件
Pro Tools 2024.10リリースは、サブスクリプション、または永続版ライセンスで有効なソフトウェア・アップデート+サポートプランをお持ちのすべてのPro Toolsユーザー、およびすべてのPro Tools Introユーザーにご利用いただけます。Avid Linkからアップデートするか、Avidアカウントでもダウンロードできます。Pro Toolsのソフトウェア・アップデート+サポートプランを更新する必要がある場合、または最新バージョンに更新したい場合は、こちらのオプションをご覧ください。また、Pro Toolsを初めてご使用の場合は、無償の30日間体験版で最新バージョンをお試しいただけます。
このリリースの詳細については、Avidアカウントでご利用いただける新しいドキュメントをご覧ください。
Chris Winsor, Elpiniki Pappa, Orla O’Rourke
Celemony、Audio Random Access(ARA)は、Celemony Software GmbHの登録商標です。Dolby Atmosは、Dolby Laboratoriesの登録商標です。
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