イギリスのブリストルの中心に拠点を構えるWounded Buffalo Sound Studioは、オーディオ・ポストプロダクションの世界で独自の得意分野を開拓してきました。自然ドキュメンタリーの卓越した作品で知られる同スタジオは、正確さと創造性の両方が求められる業界の主力スタジオとなっています。同スタジオのここまでの道のりについて、スタジオ・マネージャーのジム・ジェイコブ氏とベテラン・ミキサーのベン・ピース氏から、Wounded Buffalo社のオーディオ・ネイチャー・サウンドスケープを、Avidがどのように支援しているかなどを中心に詳しく話を伺いました。
手探りのスタートからオーディオ優良企業へ
ジェイコブ氏のWounded Buffalo社への道のりは、決して平坦なものではありませんでした。彼は、オーディオ部門のアップグレードや拡張、スタジオの設計、テレビ用の作曲、ピアノの修理などを経て、コロナ禍でブリストルのオーディオ・ポストプロダクションに戻ってきました。
「ポストプロダクションでランナーとして働き始めた私は、ロンドンでポスト・マネージャーになるまでのキャリアを積み、その後、オーディオ専門としています」 とジェイコブ氏は振り返ります。
ピース氏の話も同様に興味をそそります。1997年にWounded Buffalo社に入社したピース氏は、初期のオーディオ・ファイルを使用するところから、今日の高性能デジタルツールへと、スタジオが進化する様を見てきました。
「90年代には、DJレイヴをやり始めました」 と彼は話します。
Wounded Buffalo社は、Dolby Atmos® 技術を搭載した3つのダビング・シアターと6つの編集室を備えています。
AvidのS6コントロール・サーフェスを採用
Wounded Buffalo社の転機は、大幅なアップグレードとなったAvid S6コントロール・サーフェスの統合でした。
「S6が登場した時、すぐにAvidに乗り換えました!非常に汎用性が高く、このコンソールにすべてを託すのが良いと判断しました」 とピース氏は説明します。
ジェイコブ氏はこの意見に同意して、S6がもたらす効率性を強調しています。複雑なプロジェクトに取り組む彼らの仕事にとって、この統合が特に重要でした。
「すべてが1つの場所にまとまっています。統合はシームレスで、セッションに必要なあらゆるものを提案してくれます」 と言います。
自然ドキュメンタリーのサウンドスケープ(音の風景)をナビゲート
自然ドキュメンタリーの仕事には、多くの特有の課題があります。
「ほとんどが、超望遠レンズで撮影されます。400ヤード離れたところから撮影することはできても、その距離から音をとらえることは簡単ではありません」 とピース氏は話します。
つまり、チームが映像を受け取っても、付随する音声は最低限であったり、音質が悪かったりすることは珍しくありません。過酷な環境で、“初めて見る” 映像を撮影することが多い現場で、音声が優先されることは滅多になく、また音声自体がない場合があります。
「運が良ければ、何らかの環境音が得られます。時々、どこかにマイクが内蔵されたリモートカメラを置くこともあります。かなりひどい音でも、とても役立ちます。目指すべきことは、分かっています」 とピース氏は続けます。
大自然のコンテンツには、驚くほど細部までの注意が必要です。チームは、描写する映像や風景に詳しい科学者やエピソードのプロデューサーに定期的に助言を求め、音声の信憑性を確保しています。
「各レイヤーは、かなり入念に研究されています。鳥の鳴く時間帯が本来のものと違っていれば、信憑性が損なわれます」 とジェイコブ氏は話します。
精度を維持しなければならないというプレッシャーは、計り知れません。
「音声を一から作り直す必要がある映像を扱うことがよくあります。これはつまり、真実味があり、かつ魅惑的なサウンドスケープ(音の風景)を作るということです」 とピース氏は説明します。
Wounded Buffalo社のプロジェクトには、『プラネットアースIII』、『アース・サウンド』、『グレイト・ナショナルパーク:驚きに満ちた世界』、『デヴィッド・アッテンボロー:地球に暮らす生命』 など、受賞歴を誇る作品が数多く含まれています。
水中アドベンチャーとユニークな設定
自然ドキュメンタリーのサウンド作業で驚くことの1つが、水中オーディオを扱うことです。海洋シーンでは、明瞭な水中オーディオが重要な役割を担うため、例えば、雑音が自然音の妨げにならないようにボートのエンジンを止めるなど、チームは録音担当者に最も効果的な収録方法をアドバイスします。
「水中の撮影は、実はかなり厄介です。水泳は、通常あまり音が立ちませんが、見るという行為が伴うと、音がないと正しく見えません。水中で、イルカがカメラの横や頭上を泳いだら、それを音で追うことができます」 とジェイコブ氏は説明します。
自然ドキュメンタリー分野における長年の経験から、チームは全く新しいシナリオに視聴者を没頭させるやり方をよく理解しています。一例として、ピース氏は子供番組の編集を回想します。
「すべてが子供の目線でした。親御さんたちの声には、ハイトスピーカーを使用したので、視聴者は子供の目線になり、声は頭上から聞こえてくるのです。なかなか面白いDolby Atmosの使い方でした」 とピース氏は語ります。
オーディオ・ポストプロダクションの未来
今後、Wounded Buffalo社は、業界の進化する需要に適応し、自然ドキュメンタリーの枠を超えた多様化を目指しています。
「映画の仕事が少し増えてきています。自然ドキュメンタリーの撮影に使用する技術は非常に素晴らしいので、大スクリーンで見たいと思う人は多いでしょう。今では、映画のオーディオの依頼が増えています」 とジェイコブ氏は話します。
業界の変化に伴い、Dolby Atmosなどのイマーシブ・オーディオ形式もまた、彼らの仕事の重要な部分を占めるようになっています。自然ドキュメンタリーの映画は大劇場に適しているため、Wounded Buffalo社 は任務として、あらゆるプロジェクトで大規模なオーディオを目指します。
将来を見据え、Wounded Buffalo社のチームはその可能性に胸躍らせています。
「Wounded Buffalo社は進化し続けています」とジェイコブ氏は話します。
チームの創造性と正確さを実現するAvidソリューションにより、同社の作品は世界中の観客を魅了し、没頭させ続けることができます。
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