2025年10月22日
Pro Tools 2025.10では、Sonyの 360 Reality Audioによる空間音楽ミキシングとデリバリー、さまざまなワークフローを自動化・効率化するための新たな統合型SoundFlowパネルを導入し、Speech-to-Text機能を強化して音声と歌詞の情報分析を効率化しています。Pro Tools 2025.10リリースでは、新しいインタラクティブなチュートリアルを追加し、新規ユーザーの迅速な習得を支援します。サブスクリプションまたは永続版ライセンスで有効なソフトウェア・アップデート+サポートプランをお持ちのすべてのPro Toolsユーザーには、Inner Circleのプラグインおよびサウンド・コレクションを無償提供します。さらに、macOS Tahoeに対応し、UIと設定の更新により、アプリケーションの操作やカスタマイズが容易になりました。音楽制作やイマーシブ・ミキシングから、高度なオーディオ・ポスト・ワークフローまで、Pro Tools 2025.10が提供する数々の新ツールは、アーティストが最高の作品を生み出すことをサポートします。
新機能の詳しい技術概要については、Pro Tools 2025.10の新機能ガイドとリリースノートをこちらからご確認ください。最新リリースの概要などについては、Pro Toolsの新機能ページ(英文)をご覧ください。
Pro Tools 2025.10リリースに含まれるすべてのプラグイン、サウンド、その他のコンテンツの受け取り方法については、以下のビデオをご覧ください。
SONYの 360 REALITY AUDIOで高次元の音楽体験を実現
Pro Tools 2025.10では、Pro Tools StudioおよびUltimateで360 Reality Audioをサポートします。ソニーのオブジェクトベース360 Spatial Sound技術を活用したイマーシブ音楽フォーマットにより、音を上方、下方、前方、横、後方に配置でき、リスナーを高次元な音楽体験の中心に引き込むことができます。Pro Tools StudioおよびUltimateユーザーは、Audio Futures WalkMix PannerとWalkMix 360RA Rendererプラグインの機能限定版を入手でき、これにより、360 Reality Audioコンテンツをセッション内で直接ミキシングおよびモニタリングすることが可能となります。既存のPro Tools Dolby Atmos®セッションから、ステムや設定を維持したまま、360 Reality Audioのミキシングを素早く開始することができます。同じセッション内で、両フォーマットのミキシングおよび編集することができ、別のマスタリングソフトやレンダリングアプリは必要ありません。

Pro Tools内で、SOUNDFLOWを使って複雑なワークフローを自動化
オーディオ・ワークフロー自動化の業界リーダーであるSoundFlowが、Pro Toolsのすべてのバージョンに直接統合されました。1,700以上もの無料マクロにより、複雑でクリック数が多くなる作業を1度のキーストロークで実行でき、ユーザーがクリエイティブな流れを途切れることなく作業を進められます。Pro Toolsの新しいSoundFlowパネルからアクセスできる既成のマクロは、トラック作成やミックスのバウンスから、プラグインや大規模ミックスの簡単な操作まで、Pro Toolsのあらゆるワークフローを加速します。
さらに、SoundFlowプレミアム・サブスクリプション・ライセンスをお持ちのユーザーは、パネルを使って、すべてのマクロ、フロー、アプリケーションにアクセスできるだけでなく、コンテキストを理解し、ユーザーの指示に従って、複雑なタスクを即座に実行する、新しい自然言語の自動化ツールのAI搭載セッションアシスタント(Session Assistant)の利用も可能です。

ACON DIGITAL、NIGHTFOX AUDIO、NATIVE INSTRUMENTSの
INNER CIRCLEプラグインとサウンドを6つ無償提供
Inner Circleは、サブスクリプションまたは永続版ライセンスで有効なソフトウェア・アップデート+サポートプランをお持ちのすべてのPro Toolsユーザーに、プラグイン、サウンド等を無償提供する特典プログラムです。Pro Tools 2025.10には、Acon Digital、Nightfox Audio、Native Instrumentsから6つの新しいInner Circle特典が含まれます。これらは、オーディオ処理の新たな方法、ドラム編集の効率化、MIDIを操作し、ループとサンプルを使った即興演奏を可能にします。
Acon Digital Verberate 2
Verberate 2は、音色に余計な変化を加えず、リアルな空間を再現する、透明感のあるリバーブ・プラグインです。ダンピング、モジュレーション、ディフュージョン効果を正確に調整できるツールにより、ディテールを損なうことなく、ミックスを強化するVerberate 2は、音楽制作、ポストプロダクション、リアルタイム環境に最適です。
詳細はこちら(英文)

Acon Digital DeBleed:Snare
DeBleed:Snareは、高度なAI搭載プラグインで、スネアドラムのレコーディング時に混入した不要なマイク・ブリードをリアルタイムに素早く透過感を維持したまま除去し、よりクリーンで自然なドラム・レコーディングを実現します。
詳細はこちら(英文)

Nightfox Audio Rendition Lite
Rendition Liteは、MIDIコードやアルペジオを生成するプラグインです。音楽理論や複雑なプログラミングの知識がなくても、アーティストやプロデューサーが、素早くコードやアルペジオを演奏することを支援します。
詳細はこちら(英文)

Native Instruments Kontakt Leap Expansions
Leapは、Native Instruments Kontakt Player(Pro Toolsに付属)のライブループ・ツールです。瞬時に、サンプルを演奏、レイヤー化、操作することができます。Pro Tools 2025.10では、アクティブユーザーに新しいLeap用サウンドExpansionを3種類(Pummeled Piano、Eventide Drums、Isorhythm)提供します。フレッシュなアイデアをひらめかせ、即興でアレンジを作り出し、リアルタイム・エフェクトでサウンドを自在に操るのに最適です。
詳細はこちら(英文)

アプリ内のチュートリアルで素早く使い方を習得
新しい「Learn」パネル(SoundFlow搭載)には、初期設定、レコーディング、編集、MIDI操作など、Pro Toolsの基本的なワークフローを幅広くカバーする、インタラクティブなチュートリアルが含まれています。これらのチュートリアルは、シンプルなガイドツアー形式で、アプリケーションのツールやウィンドウを実際に操作しながら学べるよう設計されており、新規ユーザーが素早く使い方を習得できるようにサポートします。

イマーシブ制作の強化
Pro Tools 2025.10では、イマーシブ制作を次の段階へ進化させています。今後、各種イマーシブ・サウンドのレンダラーをサポートしていく最初のステップとして、2025.10のリリースでは、WalkMix 360RA に対応し、イマーシブ・ミキシングにおいてさらに柔軟なアプローチが可能になりました。
既存のミックスを起点として活用することで、クリエイティブな作業を効率化し、各種レンダラーにプロジェクトを簡単に適応できるようになるのです。
さらに、Pro Toolsでは、単一セッション内で複数のイマーシブ・ミックスを維持できるようになりました。これにより、アレンジの変更がすべてのミックスに自動的に反映されるようになり、複雑なマルチレンダラーのワークフロー管理が、これまで以上に効率的かつ安定して管理することができます。
この進化により、オーディオ・プロフェッショナルは、慣れ親しんだ環境の中で、作業効率をあげ、柔軟性を保ち、イマーシブ・ワークフローをさらに拡張することができます。

360 Reality Audio制作

前述の通り、Pro Tools 2025.10は、360 Reality Audioのミキシングおよび配信をサポートし、上方、下方、前方、横、後方に音を配置できる、オブジェクトベースの360 Spatial Sound技術を使用するイマーシブ体験を実現します。
主な機能

レンダラーを切り替える場合、Pro Toolsは以前のレンダラーに割り当てられていたすべてのトラックを自動的に再ルーティングして、新たに選択されたレンダラーに割り当てます。これにより、手作業で再割り当てをする必要なく、セッションのルーティングを維持したまま、スムーズな移行が可能になります。元のレンダラーに戻ると、元の割り当てが復元されます。
レンダラー切り替え時のPro Toolsでのパン・データ変換
Pro Toolsでイマーシブ・オーディオの作業をする時、Dolby Atmosと360 Reality Audio (360RA)間で移動するには、それぞれのレンダラーが異なるパン座標を使用するため、パン・データを変換する必要があります。
パン・データ変換ダイアログ
別レンダラーへ初めて切り替える場合(セッションに既存のパン・コントロールまたはパン・オートメーションが含まれている場合)、Pro Toolsはパン・データの変換ダイアログを表示します。

重要な理由
変換を行わない場合、パンの位置およびオートメーションが正しく反映されず、ミックスの空間バランスが崩れる可能性があります。イマーシブ・フォーマット間で移動する場合も、このギャップを埋めるパン・データ変換により、クリエイティブな意図を維持できるようにします。
ヒント!複数レンダラーでの割り当てとパン・データの管理
複数のレンダラーを使用するセッションでは、Global Renderer Managementメニューで、トラックの割り当てやパン・データを管理することができます。このメニューは、トラック上で右クリックするだけでアクセスできます。そこから、トラック毎に、割り当てやパン設定を簡単に行うことができます。

使いこなしのヒント:複数トラックを選択すると、割り当ての変更、解除、変換やパン・データの削除などを一度に一括変換可能です。これにより、複雑なセッションの管理がより速く、効率的になります。
新しいレンダラー・クラスター・ビュー

Avidは、お客様の声に耳を傾けます。
Pro Tools 2025.10の編集ウィンドウのツールバーにレンダラー・クラスター・ビューが追加されました。基本的なレンダラー機能へ素早くアクセスできます。また、現在のレンダリング設定を一目で確認することができます。
この新しいインターフェースにより、ワークフローが効率化され、編集ウィンドウから離れることなくモニタリングの切り替えや、レンダラーの操作管理が可能になります。
主な機能
アクセス方法
レンダラー・セクションを表示するには、以下のいずれかの操作を行ってください。

レンダラー・クラスター・ビューにより、主要なイマーシブ・オーディオのコントロールを画面の中心に配置したPro Tools 2025.10では、操作に気を取られることなく制作に集中することができます。
スマートなパン・データの保持
Pro Toolsの旧バージョンでは、トラックの出力を変更や削除をすると、意図しない結果が生じる場合がありました。特に、トラックのパン・コントロールや自動化データを完全に削除すると、一度削除したデータは、復元できませんでした。
Pro Tools 2025.10では、もうその心配はありません。新バージョンは、出力やセンドをより柔軟に管理できるパン・データのインテリジェントな保持機能が搭載されました。
新機能
互換性に関する注意:
Pro Tools 2025.6またはそれ以前のバージョンで2025.10セッションを開き、保存した場合、使用されていない、または互換性のないパン・データは完全に破棄されます。
Pro Tools 2025.10では、自動化データを使った作業の柔軟性が向上し、ミックスの操作を失うことなく、安全に再ルーティング、再構築、試行することができます。
Speech-to-Text(音声テキスト変換)機能の改善
Pro Tools 2025.6では、Speech-to-Textエンジンが導入され、音声や歌詞のオーディオ・コンテンツをトランスクリプションし、テキストによる閲覧、検索、編集を可能にするパワフルな新機能が提供されました。Pro Tools 2025.10では、この機能を拡張し、トランスクリプションの編集、Workspaceを使ったセッション外ファイルのトランスクリプション、クリップを単語、文、話者単位で分割、新しいショートカットなどを加えました。
単語の編集、結合、削除
編集ウィンドウまたはトランスクリプション・ウィンドウで、1語または複数語を右クリックして、トランスクリプションを修正できるようになりました。トランスクリプション・サブメニューに、3つの新しいオプションが加わりました。
Edit Word(単語の編集):1つの単語を編集または分割
Join Words(単語の結合):複数単語を結合
Clear Word(s)(単語の削除):不要な単語を削除
上記のコマンドはすべて、他のトランスクリプション操作と同様に、カスタムのキーボード・ショートカットを割り当てて、素早くアクセスできます。


Workspaceでのトランスクリプション
現場で収録した大量のダイアログファイルを扱う場合、すべてをセッションにインポートするのは現実的ではないことが多く、また望ましくない場合もあります。しかし、これらのファイルをトランスクリプションして、利用可能な代替案を検索できるようにすることは、とても有益です。そこで、Pro Tools 2025.10では、ファイルとフォルダの両方に対して、“Transcribe(文字起こし)”、“Re-Transcribe(再文字起こし)”、“Clear Transcription(文字起こし削除)”のコマンドをワークスペースの右クリックメニューに追加しました。これで、セッションを開いていなくても、システム内のファイルを幾つでもバックグラウンドでトランスクリプションすることができます。

さらに、トランスクリプション・データは、“Simple”(“Any Text Column”)および“Advanced”検索を使って、ワークスペースから検索可能になりました。また、インターリーブ・マルチチャンネルまたは多数のWAVファイルには、Transcription Channelコラムが追加されて、表示するチャンネルのトランスクリプションを選択できるようになりました。
トランスクリプション・ウィンドウの改善
トランスクリプション・ウィンドウには、以下の機能が追加されました。

その他のSpeech-to-Text機能の改善点
操作や編集の速度を上げるために、以下のショートカットが追加されました。
トランスクリプション・ウィンドウ(タイムライン・ビュー)または編集ウィンドウ(トランスクリプション・レーンまたはトランスクリプション・ビュー)で単語をCommand+クリック(Mac)またはCtrl+クリック(Windows)して、単語の頭に挿入ポイントを設定し、スクロールして表示
トランスクリプション・ウィンドウ(タイムライン・ビュー)または編集ウィンドウ(トランスクリプション・レーンまたはトランスクリプション・ビュー)で単語をCommand+Shift+クリック(Mac)またはCtrl+Shift+クリック(Windows)して、単語を選択、スクロールして表示、選択範囲に合わせて表示を拡大
最後に、大量のトランスクリプション・データを表示するセッションの再生時に、最適なパフォーマンスを維持するため、トランスクリプション・テキストの背景透過などのエフェクトの表示を管理するDisplayタブに、Reduce Visual Effects(視覚効果の軽減)という新しい設定が追加されました。これは、Always(常時)、During Playback(再生中のみ)、またはNever(表示しない)に設定可能です。

Avid ビデオ・エンジン
最近Avidでは、Pro Toolsのビデオ・エンジンの操作について検討を重ね、パフォーマンスと安定性に関して、次のような改善を行いました。
オーディオ・エンジンでクロックを確立および維持する方法の再設計(リファクタリング)を行い、接続の安定性が向上し、エラー状態での耐性を強化
動作が遅いストレージやシステムからメディアへアクセスする際の堅牢性を強化
停止、リロケーション、再生などの状態で素早く切り替える場合のパフォーマンスおよび反応を大幅に改善
利用条件
Pro Tools 2025.10リリースは、サブスクリプションまたは永続版ライセンスで有効なソフトウェア・アップデート+サポートプランをお持ちのすべてのPro Toolsユーザー、およびすべてのPro Tools Introユーザーがご利用いただけます。Avid Linkからアップデートするか、Avidアカウントでもダウンロードできます。Pro Toolsのソフトウェア・アップデート+サポートプランを更新する必要がある場合、または最新バージョンに更新したい場合は、こちらのオプションをご覧ください。また、Pro Toolsを初めてご使用の場合は、無償の30日間体験版で最新バージョンをお試しいただけます。
このリリースの詳細については、Avidアカウントでご利用いただける新しいドキュメントをご覧ください。
Dolby Atmosは、Dolby Laboratoriesの登録商標です。
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