シネマサウンドの最進化形
東宝スタジオ ダビングステージ1
日本映画史に残る数々の作品を生み出してきた東宝スタジオのダビングステージ1がDolby Atmos®への対応をはたしました。
国内最大のDolby Atmosダビングステージ
1932年に現在の世田谷区砧に誕生した東宝スタジオ。今回、Dolby Atmos化を果たした「ダビングステージ1」(以下、DB1)は、2003年から8年の歳月を費やして進められた「東宝スタジオ改造計画」の中核施設として2010年9月に完成した、フルデジタル対応の「ポストプロダクションセンター1」の中にあります。

ダビングステージで大きな存在感を放っているのが、Avid S6とAMS Neve DFC GeMiNiのハイブリッド・コンソールです。このハイブリッド構成はハリウッドなどでは多くの事例がありますが、国内ではこれが初めての採用となります。メインとなるのはAvid S6となり、これは2022年に同社ダビングステージ2(以下、DB2)に導入されたのと同じ、デュアルヘッド、72フェーダーの構成となっています。

デュアルヘッド構成のAvid S6
現状Avid S6ではプレイアウトPro Toolsからのステム出力を触ることが多いとのこと。その上で、個別トラックの調整が必要な場合はS6のスピル・フェーダー機能を使用するといった、柔軟な運用が魅力のようです。また、オートメーションのデータがPro Toolsセッションとともに保存できることもワークフローの柔軟性を高めています。
伝統的な運用から最新のワークフローまで
今回のDB1の更新では、B-Chainに関連した部分以外のシステムは2022年に更新されたDB2のシステムを踏襲する形となりました。これは、DB2におけるS6への更新を中心としたA-Chainのシステム移行が大きな成功を収めたことに加え、運用面・音質面においてDB1とDB2で大きな違いが生じることを避けるという意図もあったとのことです。
DB1・DB2とも、S6を従来同様の”ミキサー”として考え、再生用Pro Toolsと録音用Pro Toolsの間にミキシングエンジンとしてのPro Toolsを導入するという考え方でシステムを構築しています。
再生用Pro Toolsはセリフ用(ダイアログ:D)、音楽用(ミュージック:M)、効果音用(エフェクト:E1/E2)の4台となり、すべてHDX2という仕様です。先述のミキサー用Pro Toolsは大量のステムを受ける必要があるため、D+M Pro Tools用とE1+E2用にそれぞれHDX3構成のものが2台用意されています。そして、HDX2仕様の録音用(Dubber)Pro Toolsの合計7台のPro Toolsが稼働しています。
7台のPro ToolsシステムのI/Oには、すべてPro Tools | MTRX II が導入されています。さらに、すべてのMTRX IIにはMADIに加えてAES/EBUモジュールが追加されておりこちらもパッチ盤に上がっています。個別の作品に応じて信号経路を変更したり、持ち込み機材を追加したりといった柔軟な運用が可能な構成になっています。

マシーンルームに設置されたPro Tools HDX & MTRX IIシステム
Dolby Atmos対応の理由
DB1がこのタイミングでDolby Atmos対応に踏み切ったのは、近年、『ゴジラ-1.0』や『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』等、複数の作品がDolby Atmosで制作・公開されはじめたことが大きかったようです。
それに加えて、東宝グループの新たな配給レーベル「TOHO NEXT」が扱うコンテンツの中に音楽作品の劇場上映が含まれていることも大きいでしょう。
国内では映画作品に先駆けて音楽制作の分野でDolby Atmosが浸透してきました。DB1も実際に、ライブコンサートのドキュメンタリー的な作品で使用される機会は非常に多いということです。単純に機器更新のタイミングに合わせて新しいフォーマットに対応する、ということではなく、グループ全体としての大きな戦略の一部としてのDolby Atmos対応ということで、今後、同社から数多くのDolby Atmos作品が生み出されることに期待できそうです。

取材にご協力いただいたTOHOスタジオの皆様
本Avidブログ記事は、株式会社メディアインテグレーション発行の「Proceed Magazine 2025-2026」掲載の「シネマサウンドの最進化形 - 東宝スタジオダビングステージ1」(P28-P35)記事から、Avid製品に関連した部分を抜粋したものとなります。本スタジオに関するさらに詳細な内容やその他の機材に関しては「Proceed Magazine 2025-2026」をご参照ください。
Avid S6
Pro Tools | MTRX II
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