写真提供:レイチェル・ディーブ
ジョシュ・オズモンド氏とザ・ルミニアーズについて
ザ・ルミニアーズは、アコースティックの要素を、世界中の聴衆に響く曲作りに融合させ、この10年で代表的なフォーク・ロックのアーティストになりました。『Ho Hey』や『Ophelia』などのヒット曲で知られる彼らのライブパフォーマンスは、FOHエンジニアのジョシュのなす技によって、荒々しくも感情的で没入感のあるものになっています。ジョシュのライブサウンドにおけるキャリアは、ザ・ルミニアーズのスタジアム公演のミックスを手掛けるよりも前、音楽と制作への愛から始まりました。
オーディオ業界で20年以上の経験をもつジョシュの物語は、20代前半に企業勤めが自分には合わないと気付いたときに始まりました。コンサートの舞台裏に魅了された彼は、スタジオ中心のオーディオコースに入学してすぐに、ライブサウンドの分野へ変更しました。ツアーバンドに参加するために自身の卒業式を欠席して以降、経験を積み、数多くの失敗を重ねながら、年間数百ものライブをこなしていきました。その道のりは、ジョン・レジェンドやトレーシー・チャップマンとの仕事や、ボブ・ディランやグレイトフル・デッドのシステム・エンジニアとしての仕事、そして2013年、ザ・ルミニアーズとの長期にわたる仕事へと繋がりました。12年経った今でも、ジョシュはコンソールの前に座り、現代音楽で最も本物志向のライブ演奏のサウンド作りに携わり続けています。
ジョシュ・オズモンド氏のAvid VENUE | S6Lセットアップ
ザ・ルミニアーズのFOHエンジニアとしてのジョシュの役割は、バンドとの長年の関係の上に築かれた信頼とコラボレーションに基づいています。最近の『オートマティック・ワールド・ツアー』では、ほぼ1年前から準備が始まり、ジョシュは、スタジオの制作プロセスに密接に関わってきました。バンドのスタジオチームと日常的に話し合い、ボーカルチェーンからコンプレッションの選択に至るまで、サウンド計画を理解しました。早い段階での参画により、レコードの感情的なトーンと技術的なセットアップを調整し、ステージ上でサウンドを再現する方法を計画することができました。

写真提供:レイチェル・ディーブ
スタジオ要素をパワフルなライブミックスへと変換する時、ジョシュのVENUE | S6L-32Dセットアップが真価を発揮します。ステージ上で2台のStage 64と1台のStage 32からの165以上の入力に加え、FOHでの外部エフェクト用のStage 32とLocal 16を配置する規模の公演には、Avidの新しいVENUE | E6LX-256エンジンが必要でした。
「納得できるワークフローです。スナップショット機能は最高です」とジョシュは語ります。
彼は、詳細なユーザー・レイアウトと100以上のコントロール・イベントを活用して、入力の切り替えからマイクの交換まで、あらゆることを自動化しています。165以上の入力を有し、速度と柔軟性を求めて設計された彼のシステムは、楽曲ごとにカスタマイズ可能なフェーダーバンクを搭載し、チャンネルを通してバンクすることなく必要なレイヤーへ瞬時にアクセスできます。
またジョシュは、Pro ToolsのVENUEとの統合機能を最大限に活用し、AVB-HDを使用して1本のCatケーブル経由で最大216チャンネルを録音します。
「この部分は、本当にすごい」と彼は話します。
彼のミックスには、アンビエントマイク、ユーティリティ・ルーティング、アナログの外部プロセッサーセットが含まれますが、彼は入力チャンネルにプラグインを一切使わないことを誇りにしています。
「入力はすべて内蔵のコンプ、ゲート、HEATを使用します。使用するプラグインは、エフェクト用もしくはグループバスで使用するものです。その場合も、主に、アナログ外部機器の故障時のバックアップとして使用します」
この考え抜かれたエンジニアリング、自動化、制約によって、彼は、レコードのサウンドを忠実に再現するだけでなく、感情的に没入できるライブステージを作り上げることができます。
ザ・ルミニアーズとの連携
ジョシュは、これまで関わってきた他のアーティストとザ・ルミニアーズの違いを尋ねられた時、彼らの余分なものを削ぎ落したシンプルなサウンドの奥にある複雑さを挙げます。
「表面的に、彼らはフォーク・ロックバンドですが、実際ははるかに複雑です」と彼は話します。
165以上の入力があるショーファイルが、普通のアコースティックのセットアップでないことは明らかです。バンドのライブ演出には、観客席に約21m突き出すステージ、複数配置のボーカルマイク、複数の移動式ドラムセット、曲ごとに移動するピアノのセットアップが含まれています。固定された位置で演奏する従来のバンドとは異なり、ザ・ルミニアーズは、常に動き回るので、リアルタイムで調整できるミキシング・エンジニアが必要なのです。
この動きは、ジョシュの役割にさらなるプレッシャーを与えます。最大20本のボーカルマイクとさまざまな楽器が、ステージ全体で移動したり、切り替わったりするため、常にミックス内で何がライブかを把握している必要があります。
「オーディオエンジニアが、ステージから3本のマイクを外した時に、ミックスでそれをオープンのままにしていると、マイクに触れたり、ぶつかったりする雑音が聞こえてしまいます」と彼は説明します。
それを避けるために、バンドの振付に合わせて動作を同期させ、オンザフライでフェーダーを操作し、入力を切り替えています。これは、ダンサーがいないだけで、むしろポップスのステージ・セットアップに近いものです。ダンサーの代わりに、ミュージシャンが意図的に動いて、ステージの視覚的・音響的エネルギーを維持します。これは挑戦ですが、パフォーマンスを真に没入感のあるものへと高めるものにもなっています。
ザ・ルミニアーズと巡るツアーの瞬間
「ワオ!」となる瞬間を、ジョシュは数えきれないほど経験してきました。
「これまで、ゾクゾクして、鳥肌が立つような公演を数多く経験してきました」と彼は語ります。
強く印象に残っているのは、全席完売したシカゴのリグレー・フィールドでの公演でのミックスを担当した時のことです。
「アスリートとして育ったので、そんなフィールドや、プロチームがプレーするアリーナにいると、気分が高揚します」と彼は続けます。
直近では、マンチェスターでバンドがオアシスの曲をカバーし、トリビュート演奏すると、観客が沸き立ちました。
「文字通り、彼らが歌い始めると、半秒もしないうちに会場全体が歌い始めました。それがまさに、鳥肌が立つ瞬間でした」
その感動的な瞬間を生み出しているのは、観衆だけではありません。ジョシュは、バンドの創造的なエネルギーとコラボレーションも大きな要因であると言います。
「彼らは全幅の信頼を寄せてくれていて、でき得る最高のサウンド・ミックスを実現すると信じてくれています」と説明します。
しかし、これは決して一方向のプロセスではありません。
「コラボレーションの面では、私がこれまで一緒に仕事してきた中で最も優れたバンドの1つです」と彼は言います。
アレンジについての話しから、ボーカルレイヤーやユニークなリバーブ・エフェクトの追加まで、バンドは非常に具体的に音楽的なアイディアを頻繁に話し合います。
「私と彼らの関係は、ライブの現場では、むしろプロデューサー的な役割になっています」とジョシュは話します。
プリプロの間、複数のテイクを録音し、レビューを重ねながら、迅速に意図的な判断を一緒に下していきます。
「これは、チーム努力です。彼らは、ただ最高の公演を観客に届けたいだけなのです」

写真提供:レイチェル・ディーブ
ジョシュ・オズモンド氏からのアドバイス
有名アーティストと仕事をしたいと考えている若いエンジニアにアドバイスをと求められた時、ジョシュは遠慮なく本音で語りました。
「近道はありません。時間をかけて、経験を積み、たくさんの公演をミックスして、たくさんの失敗を経験する必要があります」と彼は言います。
彼の基本原則は「忍耐、継続、専心」を挙げます。
ジョシュにとって、重要なのはスキルだけではありません。良い人間であること、人間関係を築くこと、そして自分の仕事に情熱を注ぎ続けることなのです。
「情熱を注ぎ、自分の仕事に真摯に向き合い、日々新しい何かを学ぶことを心掛けること。やがて、あなたの仕事に人々が気づき、機会が訪れるでしょう」と彼は言います。
彼の最後のアドバイスは、自分の能力を超えていると感じることにも臆せず、「はい」と答えることです。
「飛び込むしかない、そんな機会が訪れるでしょう」
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