大空間を活かす、物理的な音響設計アプローチ
日活株式会社 日活調布撮影所 MA
すでに110年を超える歴史を持つ日活、今回のMA室リニューアルが行われることとなった日活調布撮影所は、70年以上の歴史がある日本の映画史そのものとも言える場所となります。その70年の節目に発表されたスタジオ全域に渡る大規模修繕事業。ポストプロダクションセンターも部屋の配置まですべてが見直され、MA室以外にも新しいFoleyステージ、ADR室がリニューアルされています。理想のDolby Atmos® Home環境を作るという信念のもと、物理的な理想を求め、それを実践したのがこのMA室です。
スタジオを熟知したシステム設計
この部屋のシステムは、Avid S6をフラットに埋め込んだ机を中心とし、4台のPro ToolsとDolby Atmos Rendererが動作するRMU、計5台のPCにより構成されています。映画スタジオらしくダビングのシステムをコンパクトにした設計で、プレイアウトとしてのPro Toolsが3台、ダバーが1台という構成となります。

机上にフラットに埋め込まれたAvid S6
すべてのPro Toolsは1台のPro Tools | MTRX IIへDigiLinkで接続され、コンパクトな設計ながら柔軟性のあるシステムアップを実現しています。RMUはThunderboltによる接続となっています。出力は、MTRX IIからのMADI出力をRME ADI-6432でAESに変換。そのAES信号をRME ADI-8 QSでアナログ信号へ変換してスピーカーへ接続しています。
このMA室にはナレーション収録用のブースはありませんが、隣にあるADR室で収録を行う、もしくはそのブースをMA室から利用することができる設計が行われています。Danteにより両部屋は接続され、それぞれの信号をPro Toolsで受け取ることができるのです。

MA室と連携した運用も可能なADRブース
自然な空気感を聴かせる基本設計
スタジオの音響設計においては物理的な部分での工夫が随所に行われています。物理的に追い込み、電気的な補正は最低限とすることで自然なサウンドを目指す――言葉にするとシンプルではありますが、それを実現するのは本当に大変なことです。理想のDolby Atmos Home環境を作るという信念のもと、物理的な理想を求め、それを実践したのがこのスタジオです。

容積のある空間で十分に低域の確認が行えるスタジオはあまり多くありません。ベースマネージメントを行ったりと対策しているスタジオはありますが、このスタジオは電気的な工夫なしにそれらを実現しているのが大きな魅力です。位相感、定位感、低域の量感。エンジニアが聴きたい、確認したいサウンドがここにはあるのです。
Dolby Atmos Homeとしては、最大規模となるスタジオの誕生です。

左から、日本音響エンジニアリング株式会社 音空間事業本部 重冨 千佳子氏、崎山 安洋氏。日活株式会社 撮影所事業部 ポストプロダクション 田中 修一氏、服部 俊氏、ROCK ON PRO 前田 洋介氏、沢口 耕太氏。
本Avidブログ記事は、株式会社メディアインテグレーション発行の「Proceed Magazine 2025-2026」掲載の「ROCK ON PRO導入事例 - 日活株式会社 日活調布撮影所MA」記事から、Avid製品に関連した部分を抜粋したものとなります。本スタジオに関するさらに詳細な内容やその他の機材に関しては「Proceed Magazine 2025-2026」をご参照ください。
Avid S6
Pro Tools | MTRX II
Dolby Atmosは、Dolby Laboratoriesの登録商標です。Thunderboltは、Intel Corporationまたはその子会社の商標です。Danteは、Audinate Pty. Ltd.の登録商標です。
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