Sibelius がもたらすFINE LINEの成功:精巧なシンフォニー
2024年7月18日
音楽業界で急成長している新星Fine Line Music Serviceは、楽譜作成と音楽制作での卓越性を表す代表的な存在です。パートナーのグレゴリー・ジャムロック氏、アブラハム・リボス氏、ジョセフ・ジマーマン氏が運営するFine Lineは、作曲家のビジョンを思い通りのレコーディング・セッションやライブ演奏に、シームレスに反映するフルサービスの音楽制作チームです。わずか2年半の間に、Fine Lineは、アカデミー賞®受賞作の 『オッペンハイマー』 や 『ラスト・リペア・ショップ』 など、ハリウッドの名だたるプロジェクトの楽譜に、命を吹き込みました。
楽譜作成の芸術と科学
Fine Lineの業務は、クライアントの多様なニーズに応じて、楽譜のPDF印刷、複雑なオーディオの書き起こし、映画、テレビ番組、コンテスト応募用の楽譜作成など、多岐にわたります。楽譜作成においては、デジタルであれオーディオであれ、作曲家から受け取った生の素材を、演奏者が読みやすく、演奏しやすいレイアウトに仕上げることを重視しています。
この複雑なプロセスには、最終作品を世界トップレベルの演奏家の高い水準に合わせることができる、技術的スキルと芸術的センスの融合が求められます。約30名の熟練したプロフェッショナルからなるFine Lineのチームは、豊富な経験を生かして、すべての音符が完璧に配置されるように仕上げます。
Sibeliusで精度とスピードを実現
リボス氏、ジマーマン氏、ジャムロック氏は、さまざまな楽譜作成プログラムを使いこなせることをチームメンバーに求めていますが、複雑なデジタルファイルを解読可能な楽譜に変換できるAvidのパワフルな楽譜作成ソフトウェア Sibeliusは、Fine Lineの綿密な楽譜作成の中心的存在となっています。「本当に、我々の仕事はSibeliusなしではやっていけません」 とエイブは力説します。
Sibeliusがあることで、Fine Lineは納期が厳しい場合でも、ハイレベルな精度とスピードを維持することができています。スケジュールがますます圧縮されている業界では、特に重要なことです。「作曲家からファイルをもらってから納品までに12時間ないこともあります。コロナ禍以降、納期はどんどん短くなっています」 とジャムロック氏は話します。
Fine Lineの哲学は、楽譜を 『音楽的に見せる』 ことです。楽譜は直観的で、ミュージシャンが素早く容易に解釈できるものでなければならないということです。ジャムロック氏の言葉を借りれば、「見た目と響きは違います」。Sibeliusはこのプロセスで重要な役割を果たし、作曲家の意図を説明する 「コンピューター言語」 の複雑なデジタルファイルを、美しく譜面化した音楽に変換します。
Sibeliusで作業するグレッグ・ジャムロック氏
『オッペンハイマー』 の楽譜をマスタリング
Fine Lineが手掛けた最も著名なプロジェクトの1つが、クリストファー・ノーラン監督の 『オッペンハイマー』です。成功に不可欠な要素である映画音楽の楽譜作成は、Fine Lineチームにとって大掛かりな作業でした。Fine Lineによると、『オッペンハイマー』 に関わった誰もが、最高の状態で仕事に取り組んでいました。
Fine Lineのチームは、最初に映画用の楽譜を作成しただけではなく、ルドウィグ・ゴランソン氏とセレナ・ゴランソン氏と共に、映画に合わせてオーケストラが楽曲を生演奏するコンサート 『オッペンハイマー・ライブ・イン・コンサート』 のために、原曲を作り直しました。必要な構成変更を入れながら、感情的なインパクトを変えることなく最終的にまとまった作品になるよう一曲一曲分析する必要がありました。リボス氏、ジマーマン氏、ジャムロック氏は、このプロセスをパズルに例えて、「やっとできたのに、床に落としてしまった。同じピースが全部あるけど、順番が違う」 と語り、「私たちの仕事は、パズルを元に戻す方法のマニュアルを作ることでした」 と続けました。
特に大変だったのは、映画の中で最も目を見張る、緊張感あふれるシーンの1つ、史上初の核兵器実験を描いた、トリニティ実験のシーンの楽譜作成でした。複数奏者が同じパートを共有する一般的なオーケストラ音楽と異なり、すべての奏者が個別のパートを担当する独自のアプローチが必要でした。特に、奏者が譜面台を共有し、同時にページをめくる必要があることを考慮するのは、大きな課題でした。Fine Lineは、技術の革新的な活用と十分なプランニングで、スムーズな移行とシームレスな演奏を実現しました。
「これは、まるでオーケストラ映画音楽のロック・コンサートのようでした。爆弾が爆発するシーンでは、本当に爆発するのを感じた」 とジャムロック氏は話します。
『オッペンハイマー』でのFine Lineの仕事の成功は、完璧な演奏だけでなく、生演奏に対する観客の反応にも表れていました。演奏のエネルギーと激しさは、事前収録されたトラックと完璧なバランスと相まって、スタンディング・オベーションが起こるほどの迫力を生み出しました。このような瞬間は、綿密な楽譜作成の影響と、それが制作全体に果たす重要な役割を明確に示します。
(左から)グレッグ・ジャムロック氏、ジョー・ジマーマン氏、エイブ・リボス氏 イラスト:M-Lon氏
関係の構築とテクノロジーの採用
Fine Lineの仕事は、作曲家との関係構築と綿密なコミュニケーションを重視しています。プロジェクト開始時には、いつも必ずクライアントと個人的なつながりを築くことを大切にしています。この最初のステップにより、個々の作曲家の具体的なニーズや嗜好を理解し、楽譜作成のプロセスを彼ら独自のスタイルに合わせたものにすることができます。
優れた楽譜作成の道のりは、音楽への深い情熱と記譜や写譜への強い関心が必要です。「Fine Lineは、楽譜作成の道に専念する人々が目指す場所です。チームは、オーケストラ、ポップス、ジャズ音楽の分野に精通したバックグランドを持ち、独自のスキルを発揮できる人材で構成されています」 とジャムロック氏は説明します。
「ここで私たちやっているようなことを、本当に訓練できる学校はありません。とにかく、特殊なことなのです。クライアント毎に異なる、起こりうることだけに焦点を絞っています」 とパートナーたちは話し、次のように続けました。「私たちの仕事の大部分は、演奏家の仕事を楽にして、彼らがリラックスして演奏に集中できるようにすることです」
Fine Lineの楽譜作成の世界における旅は、技術に対する深い理解と品質への飽くなき追及によって突き動かされて、今も歩み続けています。
Sibeliusについて
コンサートホールから教室まで、Sibeliusを使って音楽を作曲、共有、出版する作曲家、編曲家、教育者は増えています。Sibeliusは、AI搭載のアクセラレーター、マークアップやレイアウトの高機能オプション、Sibelius Cloud Publishing、あらゆるデバイスで動作する能力など、洗練された機能で、今日のプロフェッショナル音楽業界を支援します。Sibeliusを使えば、世界中の音楽家と創作やコラボレーションして、自信を持って自分の作品が誇れるものになるように仕上げることができます。
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