ABBAのベニー・アンダーソンのスタジオがPro Toolsでリニューアル
2024年7月2日
アイコニックなシェップスホルメン・スタジオは、創造性と革新の唯一無二の拠点です。ベニー・アンダーソンとバーナード・ローアは90年代からここで一緒に仕事をしてきました。このスタジオは、多くの外部クライアントにも利用されています。
作曲家でありミュージシャンであるABBAのレジェンド、ベニー・アンダーソンといえば、紹介するまでもないでしょう。音楽の歴史にその足跡を残すと同時に、ストックホルムの中心、シェップスホルメンに、創造のための、唯一無二の自身のスタジオを造り上げました。文化的にも歴史的にも重要なこの建物で、ベニーとエンジニア / ミキサーのバーナード・ローアは、1990年代から代表作とも言える作品を生み出し続けてきました。アナログ・スタジオだったこのスタジオは、近年、完全に改装され、Pro Toolsによるイマーシブ・オーディオに対応したDolby Atmos®ルームへとアップグレードされました。
リノベーションの出発点、アルバム『ヴォヤージ』
2021年に、ABBAが待望のアルバム『ヴォヤージ』のリリース準備を進める中、ベニー・アンダーソンは新たに、エキサイティングなチャレンジに直面していました。ユニバーサル・ミュージックとアップル・ミュージックが、このアルバムをイマーシブなDolby Atmosフォーマットでミックスするよう要求したのです。シェップスホルメン・スタジオでは、全面的な改修が必要になりましたが、この文化的に重要なスタジオの建物は国の所有だったため、改修には慎重な計画が求められました。改修プロジェクトは大規模なもので、例えば、もともと階下にあったスタジオは2階へと移されています。「スタジオは以前よりずっと狭くなりましたが、居心地はよくなりました」とバーナード・ローアは言います。
バーナードは90年代初頭からベニー・アンダーソンのエンジニアを務めており、ベニーのすべてのプロジェクトのレコーディングとミックスを担当しています。
バーナード・ローア(左)とmsonic社のマーカス・ベリクヴィスト
Dolby Atmosミキシングを支えるテクノロジー: Avid S6 と Pro Tools | MTRX Studio
テクノロジーが急速に進化するこの業界では、音楽制作に使用されるツールは、単に遅れを取らないだけではなく、未来のトレンドを先取りする必要があります。シェップスホルメンのスタジオ改修には、最新のオーディオ・テクノロジーを活用するという取り組みが根幹にあり、これによりベニー・アンダーソンの施設はサウンド・イノベーションの最先端に立つことになりました。この取り組みを具現化しているのは、Avid S6コントロール・サーフェスとPro Tools | MTRX Studioの採用で、アナログからイマーシブなDolby Atmosオーディオへというスタジオの移行において、きわめて重要な役割を担っています。
Avid S6
アナログ・ミキシング・コンソールを備えた以前のスタジオでは、現代のミキシング、特に1日を通して複数のプロジェクト間を迅速に移行しなければいけないような要求に応えることはもはやできませんでした。アナログのセットアップでは、新しいセッションのたびに大規模な手作業による調整が必要で、ワークフローは大幅に遅くなります。ベニー・アンダーソンのスタジオでは、Avid S6コントロール・サーフェスにアップグレード。32本のフェーダーが搭載されたこのサーフェスでは、アナログ・システムで必要とされるようなセッションごとの面倒な再調整は必要なく、セッション・データとプラグイン設定を呼び出すことができます。これにより、効率的で柔軟なワークフローが実現し、ベニーとバーナードはプロジェクトのクリエイティブな側面により集中できるようになり、生産性の向上とセットアップ時間の短縮が実現しました。
「Avid S6コントロール・サーフェスは、ちょうどいいサイズで使いやすい。例えば、ベニーに合ったすべてのリバーブにアクセスできたりします」とバーナードは語ります。
Pro Tools | MTRX Studio
バーナードは、レイテンシーが低いという理由から、今でもPro Tools | HDXを好んで使用しているといいますが、オーディオ・インターフェースは、Dolby Atmosモニタリングに対応し、スピーカーの配置やベースマネージメントを多彩に処理できるPro Tools | MTRX Studioにアップグレードされました。MTRX Studioは、Avid S6サーフェスから直接コントロールが可能で、シームレスなワークフローを提供します。入出力の追加のため、Pro Tools | Carbon Pre オーディオ・プロダクション・ハイブリッド・システムでさらに拡張されています。
スタジオには、印象的なサウンドのために2つのサブウーファーを備えたGenelec 7.2.4 「The Ones」スピーカーが採用されており、Dolby Atmosシステム全体に素晴らしいサウンドを提供します。「Dolby Atmosフォーマットは、私だけでなく、ベニーや外部の顧客にとっても素晴らしいサウンドです。すでに多くのプロジェクトでDolby Atmosをうまく活用できています」とバーナードは付け加えました。
バーナード・ローアは、新しいコントロール・サーフェスにとても満足していると語ります。
「Avid Pro Tools S6の最も優れた点は、その柔軟性です。」
Dolby Atmosの最適化: 外部RMUとの統合
Dolby Atmosミックスの重い負荷を軽減するために、スタジオでは外部のDolby Atmos RMUも利用しています。このデバイスは、Pro Toolsマシンのプロセッサーを軽くし、スムーズで効率的なサウンド制作を実現します。
コンポジション・システムのPro Toolsへの統合
シンクラヴィアのシンセサイザーは、ベニーの作曲・創作プロセスにおいて重要な役割を担っています。このシンセサイザーは、階下の作曲ルームから上の階のPro Toolsシステムに直接統合されています。この統合により、作曲からミキシングへのシームレスな移行が可能になり、ベニーはチームと協力して、自身の音楽的ビジョンを最大限に実現することができます。
2つのサブウーファーを備えたGenelecのThe Onesスピーカーは、没入感のあるDolby Atmosのモニタリングに対応。
遥か未来へのサウンド・エクスペリエンス
スタジオの改装は2022年春に始まり、ほぼ年明けまで続きました。技術的な設備は2022年末に設置が完了し、新スタジオは2023年春にオープンしました。
シェップスホルメンにあるベニー・アンダーソンのスタジオは、Dolby Atmosで比類のないオーディオ体験を提供する最先端のスタジオへと見事に生まれ変わりました。最新のテクノロジーと精密なエンジニアリングにより、このスタジオは将来にわたって音楽の革新と創造性の中心であり続けるでしょう。
この歴史的建造物には、イマーシブ・オーディオ体験のための最先端スタジオがあります。
msonic Oyはフィンランドとスウェーデンの DOLBY認定サービス・パートナーです。Dolbyは、msonic社にDolby Atmosスタジオの販売、コンサルティング、サポートを認可しています。msonic社は公式にDolby Atmosの調整、Atmosスタジオの設計、必要な機器のコンサルティングと販売を行っています。
Dolby Atmosは、Dolby Laboratoriesの登録商標です。
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