1986年創立の放送芸術学院専門学校(大阪・天満橋)は、映像・舞台テクノロジー科、デジタルメディア科、俳優本科、メディアクリエイト科という4つの学科を擁する関西屈指のエンターテインメント系専門学校です。さまざまな業界で即戦力となる人材を育成するべく、実践的なカリキュラムが組まれているのが同校の大きな特色で、講師陣も第一線で活躍するプロが多数在籍。音声&音響エンジニアコースで講師を務めるサウンド・エンジニアの田中貢氏(テーク・ワン オーディオ所属)によれば、多くの企業/団体のサポートのもと、産学連携にも力を入れているとのことです。
「放送芸術学院専門学校は、制作会社の東通が設立した東通放送学院が前身で、毎日放送、朝日放送テレビ、讀賣テレビ放送、関西テレビ放送という在阪準キー局が出資し、放送系の技術者を育成するための学校としてスタートしたんです。私はその一期生なのですが、しばらくして放送技術だけではダメだということで、音楽、照明、映像、ダンスといったコースが増えていき、現在はエンターテインメント関連の学科を網羅した専門学校となっています。最近ではeスポーツやYouTuberを育成するコースもありますね。
他のエンターテインメント系専門学校と比較した特色としては、5学科/21コースと充実した学科編成になっていること、あとは現場の第一線で働いているプロが講師を務めていることでしょうか。この学校は230名以上在籍している講師の多くが現役のプロで、開校当時から講師が現役ということにこだわっていたんです。ですので、プロの現場に学生を連れて行って研修を行うこともありますし、そこから採用・就職に繋がることもある。就職率もとても良いですね」(田中氏)
新たに導入された24フェーダーのAvid S4
そんな放送芸術学院専門学校は昨夏、音声&音響エンジニアコースの授業などで使用されるレコーディング・スタジオを大幅リニューアル。新しいコンソールとしてAvid S4を導入し、Pro Tools周りも刷新しました。田中氏によれば、ほとんど迷うことなくAvid S4の導入が決まったとのことです。
「最近はコンソールの無いスタジオも増えていますが、こういうプロ養成校・職業訓練校で授業を行う上で、私は(コンソールが)必須だと思っています。学生は、電気的な知識を持たずに学校に入ってきますので、信号の流れを理解するための道具として、やはりコンソールがあった方がいい。新しいコンソールに関しては、大型の放送用デジタル・コンソールなども候補に挙がったのですが、ほとんど迷うことなくAvid S4に決まりました。今後世の流れとして全部コントロール・サーフェスになっていくんじゃないかなと。また、他の部屋にはヤマハ DM2000が入っていたりするので、そういったコンソールと棲み分けができるのもいいかなと思いました」(田中氏)
授業でフル活用されているPro Tools
放送芸術学院専門学校のAvid S4は24フェーダー仕様で、純正のフレームに収納。Pro Toolsは、Intel XeonのMac ProにHDXカード1枚を装着したシステムで、オーディオ・インターフェースとしてはPro Tools | MTRX IIが導入されています。アニメ音響コースで講師を務めるサウンド・エンジニアの中西祐之氏(テーク・ワン オーディオ所属)は、Pro Tools | MTRX IIの導入によってスタジオ全体の音質が格段に向上したと語ります。
「やわらかい音はやわらかく、ハイ・トーンもしっかり聴こえるので、音質がかなり向上した印象です。今回、新しいスピーカーとしてNeumann KH310を導入したので、その影響も大きいと思いますが、Pro Tools | MTRX IIは音の輪郭がきっちりしている感じがしますね」(中西氏)
「ナレーションも、これまではロー・カットするくらいだったのですが、解像度が高いのでEQしたくなるというか。ちょっとしたEQの変化にしっかりついてくるのが、これまで使っていたHD I/Oとは違いますね。ちなみにPro Tools | MTRX IIは、アナログ8ch入力という仕様ですが、将来的なDolby Atmos®対応のことを考えて、アナログ出力は24chと充実させています。また、他のスタジオやホールとデジタル伝送できるように、Danteカードも装着してあります」(田中氏)
Avid S4と同時に導入されたPro Tools | MTRX II
既に授業でフル稼働しているという放送芸術学院専門学校の新しいレコーディング・スタジオ。田中氏は、「最新鋭のコンソールが目の前にあることが、学生に大きな刺激になっている」と語ります。
「Avid S4は、すべてを自由に設定できるわけですが、使用感はアナログ・コンソールに近いという印象です。HAの扱い方、レベルの取り方を学生に教えつつ、そのままPro Toolsに録音して編集、ミックスをするというフローが凄く分かりやすい。物理フェーダーでミックスできるというのも大きいですね。これまではパソコン上で、1dB、2dBと操作していたものが指先で操作できるわけですから。フェーダーの感触もとても良いですね」(田中氏)
「Avid S4になってからは、Pro Toolsの使い方に関する質問が返ってくるようになったので、みんな使うようになったのかなと。それと学生は見た目がカッコいいと言っていますね。ただ、“自分で触れる気はしない”とも言うんですけど(笑)」(中西氏)
「この学校ではライブ録音も行うのですが、Avid S4はフェーダーが24本あるので、作業が格段に早くなりました。収録も生放送のスタジオのように作業することができるというか。このスタジオは、音楽録音から声優のアテレコ、ナレーション録りなど、何にでも対応できるマルチなスタジオなんですが、Avid S4の導入によって、その機能性がさらに高まったような感じがします」(田中氏)
音声&音響エンジニアコースで講師を務める田中貢氏(右)と、中西祐之氏(左)
Dolby Atmosは、Dolby Laboratoriesの登録商標です。Danteは、Audinate Pty. Ltd.の登録商標です。
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